1. コネクターとは?

電子機器や部品同士を接続し、電気的に連絡可能とする接続器のことです。コネクターで接続することにより、電源や信号のやり取りが可能になります。

 

 

2. なぜコネクターが必要か?

電子機器や部品同士間の接続が目的ですが、より簡単に接続できることがコネクターのメリットです。

さまざまなメーカーが同じ規格のコネクターを利用することで、簡単に相互接続が可能になります。

STEAM教育において、コネクター付きケーブルを利用することで、ブレードボードなどを介さなくてもマイクロコンピューター・シングルボードコンピューターと各種センサー・モジュールを接続することが可能になります。

回路設計や半田付けなどを一部省略することにより、初心者の学習ハードルを下げることに繋がります。

様々なmicro:bit用拡張ボード

(図:様々なmicro:bit用拡張ボードと付属しているコネクター)

 

 

3. よく使うコネクターの種類

STEAM教育やプログラミング教育でよく利用するコネクターは、以下の種類があります。

規格 表記 ピッチ よくあるピンの数 よく利用するメーカー
PH PH2.0 2.00mm 2P, 3P, 4P micro:bit本体の電源ポート、DFRobot, Yahboomなど
XH XH2.54 2.54mm 2P, 3P, 4P Yahboomなど
QI (デュポン) 2550 2.54mm 2P, 3P, 4P DFRobotなど
HY HY2.0 2.00mm 4P Grove、M5Stackなど

  

※ コネクターの種類が異なると直接接続ができません。変換コネクター等を用意する必要があります。

※ 同じ規格のコネクターでも、メーカー・ケーブルによってケーブルの色やピン(PIN)の順番が異なることがあります。ピンの順番が異なると利用することができません。接続する際、必ず各ピンの用途と順番を確認してから接続してください。

 

4. よく使うコネクターの比較

規格 対応範囲

ピン関連知識の学習

物理的に反対接続防止機構 学校学習の適合性
PH 広い しにくい あり 小学校
XH 狭い

しにくい

あり

QI (デュポン) 非常に広い

しやすい

なし

(色で明示する製品もある)

小学校、中学校、高校、高専、大学
HY 狭い しにくい あり


一般的には、多くのメーカーが対応するQI (デュポン)やPHコネクターに対応する製品の利用をおすすめします。

QI (デュポン)コネクターは、継続して購入した機材を長期的に活用していく場合、非常にメリットがあります。多くのマイクロコンピューター・シングルボードコンピューターはこのコネクターを用意しており、最も汎用性が高いと言えます。
何よりも対応するセンサーモジュールの種類が圧倒的に多いのがメリットのひとつです。安価に調達できるセンサー・モジュールも多く、ブレードボード等を利用する際にも接続がしやすいコネクターです。
初心者には見た目で難しく感じることがありますが、STEAM学習において重要なポイントである電源、グランドなどの各種ピンの接続を意識しやすいため、学習においても効果的に行うことができます。

PHコネクターに関しても多くのSTEAM製品メーカーが対応しているため、比較的汎用性があります。

その他、特定なメーカーを限定して、マイクロコンピューター・シングルボードコンピューター、拡張ボード、センサーモジュールを利用する場合、そのメーカーの共通仕様に合わせてコネクター(HY等)を利用することになります。

 

4.1 対応範囲における違い

QI (デュポン)は、従来から多くのマイクロコンピューター・シングルボードコンピューターが採用されてきたメジャーなコネクターなので、非常に広い範囲で利用ができます。STEAM教育から大学や産業界へもスムーズにステップアップが行なえます。

PHコネクターは、多くのメーカーで採用しているため、比較的汎用性が高いでコネクターす。

HYコネクターは、一部特定のメーカーが採用しています。
XHに関しては、電源周りで利用することが比較的多いコネクターです。

 

4.2 ピン関連知識の学習における違い

PH、HY、XHコネクターは、挿入する方向性がコネクター形状によって決まっています。

それに対してQI(デュポン)は、コネクター形状の都合で、挿入する方向性が決まっていません。

そのため、PH、HY、XHコネクターは、ピンの配置及び順番があらかじめメーカーによって決められています。ユーザーはピンの配置および順番を意識する必要が少なく、初心者でも簡単に接続ができるケースが多いです。

QI(デュポン)は、最初からピンの配置及び順番を意識する必要があります。そのため、自然にピンについて学習を進めていくことになります。初心者には一見難しく感じることもありますが、実際には、メーカーにて異なる色等で表記しているケースが多く、慣れると扱いやすいケースも多いです。

 

4.3 物理的に反対接続防止機構おける違い

PH、HY、XHコネクターは、挿入する方向性がコネクター形状によって決まっています。

それに対してQI(デュポン)は、コネクター形状の都合で、挿入する方向性が決まっていません。

そのため、PH、HY、XHコネクターは、間違った方向の接続を防止できますが、QI (デュポン)は間違った反対方向でも物理的に接続ができてしまうので、接続時に方向を注意する必要があります。

また、PH、HY、XHコネクターは、コネクターのメス・オス間ではしっかりと接続が固定されます。

それに対してQI(デュポン)は、抜き差ししやすくなっています。デメリットとしては、振動の多い環境では意図せず抜ける可能性があります。

 

4.4 学習適合性における違い

学校等においては、目的や提要する範囲及び利用する教材によって適合性が異なります。一概に語ることが難しいですが、系統的に学習していく場合、以下をご参考いただけます。

一貫した教育を行う場合には、QI(デュポン)コネクター対応製品をおすすめします。知識を簡略化しすぎず、スムーズにレベルアップをしていくことが可能です。ステップアップしても、過去に購入したセンサー・モジュールを活用できることが重要なメリットの一つです。

小学校においては、QI(デュポン)コネクターが少し難しく感じる場合があります、その場合はPHコネクター対応製品をおすすめします。

 

PH2.0 3Pinコネクター

(図:PH2.0 3Pinコネクター)

 

QI(デュポン)3Pinコネクター

(図:QI(デュポン)3Pinコネクター)

 

HY 4Pinコネクター

(図:HY 4Pinコネクター)

 

 

5. ピッチについて

多くのコネクターのピッチは2.54mmです。(25.4mm=1インチ、2.54mm=1/10インチ)

ユニバーサル基板やブレードボードの穴は等間隔(多くの場合は2.54mm間隔)に並んでいるため、それに合わせてICや各種センサー・モジュールの足も同じ寸法です。

この間隔に沿って作られた各種電子部品との接続を目的としてコネクターを利用するため、コネクターのピッチも2.54mmのものが多く存在します。

 

 

6. 各メーカーが主に利用するコネクター

6.1 micro:bit本体

 micro:bit本体には、PH2.0 2Pのコネクターが付属されています。電源供給用として利用します。

その他、micro:bit本体にはマイクロUSBと下部のカードスロット(5つの丸がある部分)があり、これらもコネクターに該当しますが、ここでは説明を省略いたします。

micro:bit本体のPH2.0 2Pinコネクター

(図:micro:bit本体のPH2.0 2Pinコネクター)

 

6.2 DFRobot社製品

Gravityシリーズ製品をはじめ、各種拡張ボード、拡張デバイスやロボットカーでよく利用するのは、PH2.0 2P、PH2.0 3P、QI (デュポン) 2550 3Pまたは4Pのコネクターです。

センサー・モジュール側のPH2.0コネクター

(図:センサー・モジュール側のPH2.0コネクター)

 

Gravity シリーズでは、Gravity シリーズでは、多くの場合において、専用ケーブル(PH2.0 3P - QI (デュポン) 2550 3Pまたは4P)が付属しています。容易にアナログ・デジタル・I2Cの種類が区別できるようにセンサー・モジュールに種類が記載されているほか、専用ケーブルの色も異なります。

センサー・モジュールと拡張ボードの接続

(図:モジュール(PH2.0)と拡張ボード(デュポン)の接続)

 

また、片方のコネクターがQI (デュポン) 2550 3Pまたは4Pを利用することで、より幅広い接続が可能になります。

そのほか、ターミナルブロックを利用できる拡張ボードも複数の種類があり、中上級者でも使いやすいコネクターを提供していることが特徴です。

電源については、PH2.0以外に、USBやDC2.1などを利用します。

 

デュポンコネクターとブレードボードの接続

(図:デュポンコネクターとブレードボードの接続)

 

6.3 Yahboom社製品

全シリーズが共通して PH2.0 3P、4Pコネクターを多く利用します。

PH2.0 4Pinコネクターを使ってモジュールに接続

(図:PH2.0 4Pinコネクターを使ってモジュールに接続)

 

また、PH2.0 4P、QI (デュポン) 2550 4Pに加えて、ワニ口クリップまで対応するセンサー・モジュールシリーズも用意されていますので、コネクターの対応範囲が豊富です。1つのセンサー・モジュールで多様な接続に対応可能です。

また、USB以外に一部製品の電源・モーターでは、XH2.54コネクターを利用します。

 

センサー・モジュール(PH2.0)と拡張ボード(PH2.0)の接続

(図:モジュール(PH2.0)、サーボ(デュポン)と拡張ボードの接続)

 

 

6.4 その他のコネクター

上記のほか、GroveやM5Stackシリーズで利用されているHY2.0 4Pコネクターがあります。PHやXHコネクターと似ていますが、それぞれの互換性がありませんのでご注意ください。

 

HY2.0 4Pコネクターのセンサー

(図:HY2.0 4Pコネクターのセンサー)